第845回
海外投資では韓国の方が手足が早い

私は韓国の成長経済がはじまった頃、
韓国経済新聞社に頼まれて、1年に1回ソウルに行って
経済講演をしたことがあります。
3千人くらい聴衆が集まり、とても熱心な人たちでした。
私は韓国語ができないので、日本語で講演し、
通訳がそれを韓国語になおしました。
聴衆のうちに半分くらい日本語のわかる人がおり、
半分は日本語のわからない人だったので、
私が日本語でおかしな話をすると、
日本語のわかる半分くらいの人が
ドッと笑い通訳をすると、あと半分がもう一度笑うという
2回反応の起る講演でした。
私の本や講演が韓国で人気があったのは、
高度成長に対する私の見方考え方が
日本のあとを追う韓国の人たちの
参考になったかららしいのです。

私の韓国講演は韓国経済新聞の社長の交替で
終わりになりましたが、その一番最後の1回に
「これから海外投資の時代になります」
という話をしました。
韓国ではまだ全く海外投資がはじまっていなかったので、
私の話をしている内容が
きいていた人たちにピンと来ないらしく、
いつも笑いながらきいていた人たちの反応が
いま一つでした。
「どうも少し早すぎたようですね」と
演壇を下りた私が言うと、
新聞社の社長さんも「そうですね」と
相槌を打っていましたから、
海外投資について
韓国は日本よりずっと後発だったことがわかります。

ところが、韓国でやっても採算に乗らないことがわかると、
韓国の企業者たちの反応は
大へんなスピードで変わりました。
天津や青島など朝鮮半島から近いところにある
中国の開発区は韓国企業で埋まり、
モンゴルからベトナム、タイ、ミャンマーに至るまで、
はてはかつてのソ連圏まで
韓国のマーケットになったばかりでなく、
工場進出にも目を見張るだけのことが起りました。
日本の植民地として日本人から見下されていた
韓国や台湾の方がずっと敏捷に対応し、
日本の方がずっと反応が鈍いのです。
メシの心配のなかった分だけ
日本人の方がおっとりしているんですね。


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2002年7月3日(水)

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