第873回
ビア・ホールから枝豆が消える日も

中国の脅威に対する恐怖心が中国に対する反感を誘い、
それが反中国ムードにまで及ぶ勢いを見せています。
そのきっかけはと言えば、
瀋陽の日本総領事館で亡命者を無理矢理ねじ伏せて
外へ連れ出そうとした守備警察の一部始終を
テレビで目撃したことから始まっていますが、
私が見ていると事の起りは
日本の外務省の外交姿勢に一番問題があります。
「亡命をする時は間違っても日本大使館に駆け込むな」
と私は何年も前に書いたことがありますが、
「相手国の権力者の気持ちを害するな」
「トラブルにまき込まれないように身を守れ」
という姿勢で日本の外交は一貫しています。

そういう姿勢が警官の帽子を拾ってあげたり、
「謝々」とお礼を言う結果になったのであって
責めるなら日本の弱腰外交ということでしょう。
それがどこかで反中ムードにスリ変わると、
これからいよいよアジアの時代に入ろうというところで、
日本と中国のいがみ合いがはじまる心配があります。

昨年の葱や椎茸に対するセーフ・ガードが
その前哨戦でしたが、それがほうれん草の農薬に飛火して、
「中国のどこで輸入禁止農作物が出ても全面禁止にする」
というところまでエスカレートすると、
一挙に日中経済戦争の白熱化は避けられなくなります。
ほうれん草は日本の農家も
農薬を使って栽培しているものですが、
中国産がスーパーの野菜売場から姿を消しても、
同じようなほうれん草が店先に並びます。
それが枝豆や他の農作物にまで及んだら、
夏のビア・ホールから枝豆が消えてなくなることは
先ず間違いないでしょう。

ほうれん草や枝豆は安価な物ですから、
何百トン買っても大した金額ではありませんが、
報復の対象が自動車や携帯電話機になると、
金額もさることながら、諸外国との競争から締め出されて
市場シェアを失うことになってしまいます。
国民の健康を錦の御旗にすれば
大義名分が立つかに見えますが、
問題の解決にはなっていませんから、
失うところは大きいですね。


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2002年7月31日(水)

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