第929回
セックスとお金の話は体験がないと書けません

株は比較的小さなお金からはじめることができますが、
不動産は値段が嵩張るので、
かなりまとまったお金がないと手が出せません。
従って財産づくりに関心のある人は大抵、
株式投資からスタートします。

私の場合は自分の家を買うことから先にはじめました。
借家だと毎月、家賃を払わされるし、
インフレで土地や建物が
ドンドン値上がりする時期でもあったし、
家を手に入れるチャンスを失う心配があったからです。
香港から東京に移ってきた頃、
最初の半年は家賃を払って
一戸建の家を借りて住んでいましたが、
どうやら東京住まいが長びきそうだとわかったので、
東京の田園調布の多摩川べりに
小さな家を当時のお金95万円で買って、
家内と2人の子供と4人で住むことにしました。

直木賞をもらって原稿を書く仕事がふえ、
サラリーマンに比べてかなり収入があるようになると、
もう少し大きな家に住む必要があると考え、
都立大学前というところに
敷地70坪に1階が車庫、2階、3階が住居という家を
650万円で買って転居しました。
文士とか、画家とか、自由職業の人は
あまり見すぼらしい家に住んでいると
バカにされると思ったからです。
でも現金をそんなに持っていなかったので、
不足した200万円は友人から借り、
一生懸命働いて返済するまで毎月2万円の利息を払いました。

株をはじめたのは、
借金を返して株を買えるだけの余裕ができてからです。
ちょうどその頃から日本の高度成長経済がはじまり、
少し気の早い人たちが
株式投資に関心をもちはじめたばかりでした。
私は株のカの字も知らなかったのですが、
セックスとお金は文筆家の二大テーマであり、
そのうちセックスのことを書く小説家は多いけれども、
お金の畑は手うすでしたから、
こっちを手がけようと思ったのです。
セックスのことを書く小説家だって
実地に体験しないと書けないのですから、
お金だって同じことで、
私はおそるおそる株を買うことからはじめたのです。


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2002年9月25日(水)

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