第931回
株式投資に経験は役に立ちません

1年前は株のカの字も知らなかった私が1年たって
「神様、仏様、邱永漢様」と経済雑誌で
冷やかされるような株の権威にどうしてなったかというと、
私が株について全くシロウトだったからです。
株式投資について私は何の経験もなかったし、
誰からも教わらなかったし、
従って何の固定概念も持っていませんでした。
あとから考えてみると、それがよかったのですね。

私は何も知らなかったのでNHKに頼まれると
「マイク片手に」という番組の取材のために
兜町に出かけて行きました。
相場のことは日本経済新聞の
夕刊の一番うしろのページを読むようになっていたので、
その中にある囲み欄の執筆をしていた四大証券の
株式部長さんや中小証券の社長さんたちの意見に
耳を傾けるようになっていました。

耳を傾けるといっても、そのまま鵜呑みにしたわけではありません。
この人たち、こんな知ったようなことを書いているけれども、
本当に相場であてているのだろうか、
と疑いの目で見るようになっていたのです。
というのも当時の一流株といえば、
日清紡、東洋紡、鐘紡、帝人、東レと言った繊維株のことで、
株のプロたちは一流株の業績がこの次、
良くなるか悪くなるかを見越して相場を講じていたのです。

私が見ると一流株とは相撲にたとえれば横綱のことです。
横綱が出てくれば一番拍手喝采が大きいことは事実ですけれど、
横綱とは次の横綱候補に倒されるために存在しているようなものです。
従って相撲をひいきにするなら
次の横綱は誰かを素早く見つけ出してきて
そのひいきをするのが本当ではないか。そう考えたので、
私は世間でもてはやされている一流株は無視して、
次に成長する企業は何かというところに焦点をあてて、
成長株理論というのを兜町に持ち込んだのです。
人のあまり注意していない一部や店頭株の中から
これがこの次、出世する株ですよというのを見つけ出してきて
毎週、週刊誌に書いたら、その度にストップ高になったのです。
資本金の小さな株ばかりでしたから、
別に奇跡でも何でもありませんよネ。


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2002年9月27日(金)

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