第956回
さと芋の工場を見て考えたこと

私が青島莱西市というところで見学した冷凍食品工場では
日本向けのさと芋の皮を剥いて、
丸く削って急速冷凍機にかけて包装をしていました。
さと芋の皮を剥くのも人手なら、
剥いた細長いさと芋を丸く削るのも、
また袋詰めにするのもすべて人手にたよっていました。

その工場でも私たちが中に入ろうとすると
ビニールの服をはおらされた上に穿いたゴム靴を
消毒液の中に漬けないと入れてくれません。
なかで働いている人たちはそうした物々しい服装を着た上に、
冷蔵庫の中のような冷々としたところで作業をしますから、
決して楽な仕事でありません。
日本のスーパーで売られる値段は1袋350円くらいですが、
スーパーが儲けて、日本の有名ブランドの食品会社が儲けて、
そのあいだをとりもつ流通業者がまた口銭をとりますから、
工場から出て行く値段は最終値の20%くらいなものです。

それでいて農薬問題とかセーフ・ガードにひっかかったりすると、
皆、現地の加工メーカーに皺寄せされますから、
加工メーカーの儲けなんて知れています。
当然のことながらそこで働いている労働者は
激務の上に安月給です。
一番利幅のあるのは流通業者で、
一番割に合わないのが加工メーカーです。
中国の経済が成長過程に入って、
中国の業者はホクホクだと思うかも知れませんが、
実情はいま申し上げた通りです。

それでもメーカーには工夫の余地がたくさんあります。
たとえばさと芋の皮剥きは機械でやって
何百人も使っている女工さんの給金を節約できないだろうか、
さと芋を丸く削るために豚の餌にまわす部分が
30%くらいできるが、それをうまく利用できないだろうか、
中身は同じものですから、
カッコが悪いところは売れないと言うなら、
いっそペーストに仕上げて商品化できないだろうか、
メーカーのいいところは加工のプロセスで
付加価値を生む可能性がたくさん残っていることです。
私のようなシロウトが見ても
まだまだ改良の余地がたくさんありますから
処女地には行って見るものです。
途端に頭の中が忙しくなること請け合いです。


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2002年10月22日(火)

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