第997回
日本人はサービス業で競争に勝てます

日本人は物づくりは得意だが、
サービス業は苦手だと思っている日本人は
たくさんいるかも知れません。
もしそうだとしたら、その人はあまり外国のことを
知らない人だと言ってよいでしょう。
とりわけ共産党治下の中国では
サービスが悪いどころか、サービス不在でした。

「労働者よ、団結せよ」と煽った手前、
労働者に注文をつけなかったし、
使われている人がサボったり、手を抜いたりしても、
上の者が見て見ぬフリをしたために、
働く者はすっかり増長してしまいました。
店という店がすべて国家になってしまい、
売り子も掃除係もみな国家の使用人になってしまったので、
お客に食べさせてもらっているという意識は
全くなくなってしまったのです。
いまから10年くらい前に上海に来た時は、
棚の中の物を出してもらうのにも、
こちらが拝むように頼まなければならなかったし、
「これいくら?」ときくと
「そこに書いてあるじゃないの」と怒鳴られたものでした。

最近はさすがにそれはなくなりましたが、
それでも無愛想で突樫貧な応対をする売り子はまだまだいます。
人の気持を察してお客をていねいに扱う点では
日本のデパートの売り子や
日本料理屋の仲居さんには遠く及びません。
とりわけ仲居さんは常連のお客の好みまで熟知しており、
ビールの銘柄から愛用の煙草の種類まで覚えています。
これほどまでにお客の好みに神経を使い、
サービスの完璧を志向するサービス業者は
ほかの国にはおりません。
おつりを投げて寄こす中国人の売り子の話が
柳田洋さんの「中国ビジネスのすすめ」にも出てきましたが、
日本人にはとても信じられないことです。
日本人は物づくりに熱心な職人気質の国民ですが、
職人の物づくりの中には消費者に
満足してもらうためのサービス精神が
ぎっしりこめられているのです。
そういうサービス精神をサービス業の分野で
本格的に発揮したら、中国人などとても太刀打ちできません。
サービス業は日本人の守備範囲なのです。


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2002年12月2日(月)

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