第1036回
お金は天下の廻わり物になりました

交通が便利になったのと、
外国に行くのが容易になったので、
国境をこえて往き来する人が年と共にふえています。
とりわけ所得水準の低い国から高い国に移動する人が多く、
留学に行ったり、出稼ぎに行ったり、
時とすると、観光に行ったままドロンをして
国へ帰らない人もいます。
ですからどこの国でもそういう人たちを締め出すのに
懸命の努力をしています。

反対に先進国から発展途上国に移動する人もありますが、
発展途上国はそういう人の入国や移住には寛大です。
そういう人たちは収入のある人が多く、
その国の人たちに厄介をかけることが少いからです。
生活費の安いところを狙って移住する人は
外国から生活費を持ってきてくれるし、
ビジネスのために来る人はその国の富をふやしたり、
就職のチャンスをもたらしてくれるので、
帝国主義時代の征服者と違ってどこの国でも歓迎を受けるのです。

しかし、人よりももっと世界中を
自由に動きまわるようになったのは何と言ってもお金です。
金貨がお金を代表していた時代には
お金を一つの国から他の国に動かすためには
金貨を運ばなければなりませんでした。
紙幣が金貨の代わりをするようになってからは、
それぞれの国の通貨と通貨の間に為替レートがあって、
その比率によって交換しますが、
どこの国も自分の国の通貨を外貨に換えることについて
きびしい制限を設けています。
自分の国のお金を外国に持っていくことも、
また外国のお金を自分の国に持って来ることも
そう簡単にはできませんでした。

いまは為替の自由化によって
その時の相場でいくらでも交換できる国もあれば、
いまなお政府の規制下にあって、
許可をもらわないと換のできない国もあります。
しかし、規制を受けている国でも
国の決めた条件を充たせばお金を自由に動かせますから、
お金は人間よりも自由自在に
世界中を動きまわるようになりました。
文字通り天下の廻り物になったのです。


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2003年1月10日(金)

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