第1049回
銀行は昔の銀行でなくなりました

いま金融庁が中心になって
銀行の立て直しに一生懸命ですが、
銀行はうまく立ち直れるのでしょうか。
不良債権を一掃できたとしても、
デフレが続く限り、また不良債権が発生しますから、
「焼け石に水」の状態がまだ続くことが考えられます。

しかし、そのことよりもっと問題になるのは
デフレの中で銀行のやれる仕事が
どれだけあるかということです。
いま既に銀行は中小企業にお金を貸し渋っていますが、
それはお金を貸しても利益の出ない会社は
金利が払えなくなるだけでなく、
元金の回収もできないのではないかと心配しているからです。
この心配は中小企業にだけあると思うのは間違いで、
付加価値が日本国内から消えてなくなれば、
消えた分野に属する大企業にも同じことが起ります。

一言でいえば、産業界で銀行に利息を払える分野が
大幅に縮小しているので、産業界に融資をしたのでは
銀行はメシを食えないところまで追い込まれているのです。
活路を見出すために、銀行は消費者金融に手を出し、
カードの貸越しに法外な高利を要求したり、
サラリーローンやカード会社に融資したりしていますが、
これは産業界の付加価値の分け前にあずかることを断念して、
経済観念のない個人が
無茶なお金の使い方をする弱味につけ込んで
その上前をはねる分野に乗り込んだということです。

この手の仕事は従来、町の金融業者の仕事だったのですが、
もうそれくらいしか銀行のやる仕事が残っていないとすれば、
過去半世紀にわたってはたしてきた役割は
もう終わりに近づいたことになるし、
「夢よ、もう一度」というわけには行かないでしょう。
従って銀行もまともな仕事をやる気なら、
海外に移転する日本の生産事業について
海外に営業基地を移すよりほかないでしょう。
しかし、国内で預ったお金を外国に持って行って
見知らぬ外国の会社や外国の国債で引っかかるくらいなら、
いっそ何もやらないほうがまだましなのではないでしょうか。


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2003年1月23日(木)

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