第1159回
病気したばかりに今も東京にいます

ことしの2月に私が東京から北京に到着すると、
うちのオフィスの者がすぐ私の部屋へ
漢方薬を1箱持ってきました。

「いま広州の方でコロリと死ぬ奇病がハヤっています。
このクスリを飲むと病気にならないと言われていますので、
飲んで見て下さい。
ほんの気休めにすぎないかも知れませんが」

見ると、同仁堂という
北京の有名な漢方屋から売り出されている
「板藍根」という感冒とノドの薬でした。

「噂がワアッと拡がって、このクスリ、毎日、
つくる片っ端しから売り切れになっているようです」
「1箱いくら?」と私がきくと、
「10元です」
「10元でも中国じゅうでとぶように売れたら大儲けだね。
同仁堂の株を買ったらいいかも知れないね」

これは「ハイハイQさんQさんデス」の他のコラムでも
何回かとりあげられた漢方薬ですが、
あの時、私は広東省の一角で発生した奇病が
これほどの大問題になるとは思っていなかったので、
同仁堂の株価が上がる話で茶化して
肝心の薬は2包飲んだだけで、
残りがまだそのままトランクの中に入っています。
ところが大したことがないと思った病気の方は
実は新型ウイルスによる伝染病で、
広州から香港に拡がって
香港の淘大ビルの大半の住人が
集団罹病をおこしてから
一挙に全世界の注目を浴びるようになりました。

いまは地球上を人間が激しく動きまわる時代ですから、
SARS(新型肺炎)は
広東人が最も激しく往来するシンガポール、
ベトナム、トロントに飛び火し、
更に広東省に工場の大半を移した台湾の人たちに運ばれて、
台湾各地に恐怖をもたらしている最中です。

私は北京、上海、香港を経て、
台北に向う飛行機の中で身体の具合が悪くなり、
そのまま東京へ戻って順天堂医院に入院してしまったので、
大陸に行くことができなくなって、
とうとう東京に足止めをくらってしまいました。
こういうのを運が強いと言うのでしょうか。
いま出るに出られずに、
東京でこの原稿を書いているところです。


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2003年5月13日(火)

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