第1194回
貸し渋り、貸しはがしは当然の成行です

銀行は預金者から預かったお金を
企業や個人に貸しつけて
それによって受け取った利息で
成り立っている営利組織です。
貸付先には住宅ローンや
個人消費のような分野もありますが、
大半はお金儲けに従事している事業会社であり、
会社が確実に利益をあげて
利息を払ってくれる限り天下泰平です。

高度成長期の日本の企業は物をつくれば売れたので、
金儲けのチャンスはありましたが、
どこも資金の不足に悩んでいました。
だからお金を貸してくれる銀行は神様みたいなもので、
資金需要の旺盛な企業ほど銀行に日参していました。
銀行の頭取や重役達たちは
自分たちのお金でもないのに、
誰にお金を貸すか決める立場にいたので、
まるで産業界を取り仕切っているような
頭の高い姿勢をとり続けてきました。

産業化に旺盛な資金需要があり、
確実に利息と資金の回収ができている限り、
この立場に変化はありませんでした。
ところがバブルがはじけて、
不動産や株の値段が下がり、
更に過剰生産とグローバル化によって
メーカー業や流通業まで減収減益に見舞われるようになると、
借りたお金の元利の支払いができなくなったり、
多額の借金を抱えたまま倒産したりするようになると、
銀行が莫大な不良債権を抱えたまま
そのあとを追う立場になりました。

身動きのできなくなった銀行は
不良債権の整理が先だと言われて追いまくられていますが
株を売ったり赤字を計上しても不良債権を減らしても、
現にいまお金を貸している先の商売が思わしくなくなって
金利を払えてもらえなくなったら
またまた不良債権の山になってしまいます。
だから何が大切かと言うと、
貸付先が利息を払えるだけのお金が儲かることと、
株とか不動産とか持っている財産が
目減りしないことが大切です。
そのどちらにも気を配らず、
数字の辻褄を合わせることだけ強制すれば、
銀行はお金がひっかかることだけを心配して
中小企業など敬遠してしまいます。
貸し渋り、貸しはがしなどは
皆そういうところから起っているのです。


←前回記事へ

2003年6月17日(火)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ