第1289回
模造品をつくる職人がいなくなります

どこの国でも古い物を貴ぶ風潮があるので
骨董屋がたくさんあります。
まだ大陸の門戸がひらかれなかった頃は、
台湾や香港の骨董屋が
京都や金沢の骨董屋で目ぼしい物を買って帰り、
そこへまた日本の骨董屋がやってきて、
それに上乗せをして買って帰るという
盥まわしが当然のこととして行われていました。

大陸から骨董品の持ち出しが厳禁されていましたので、
一頃は広東省から澳門への密輸が盛んで、
税関史の目をかすめるために
漁船の魚網の中にかくして運ぶ途中で
傷物になることがよくありました。
いまも年代物の輸出は禁じられていますが、
北京にも上海にも骨董品市が立つようになり、
外国人の姿も目立っています。

私は骨董品にはあまり興味がありませんが、
長火鉢をテーブルの台にするような使い方には
とても関心があります。
戦後しばらくは京都の骨董屋さんには
そういう使い方をする外人さんが
盛んに出入りしていましたが、
さすがにそういう時代はすぎ去ってしまったようです。
古い箪笥や長火鉢そのものが
なくなってしまったからです。

それに比べると、中国は
まだマイホーム・ブームがはじまったばかりですから、
古道具の出物はまだまだあります。
古い物が人気を呼べば、
古い物を現代風に修復することも可能ですが、
中国人は抜け目がありませんから
古と言って、わざわざ古い材木を仕入れてきて、
それを加工して
年代物そっくりのイミテーションをつくります。
日本では加藤唐九郎さんが
模造をして叱られましたが、
そうした技術にたけていることで
中国人に叶う人はいません。
本当に感嘆したくなるほどよくできていますが、
こんな技術を持った職人も
あと10年か20年で姿を消してしまうでしょう。
模造品といってバカにしますが、
模造する職人がいなくなれば、
模造品にも値打ちが出てくることが考えられます。
中国の模造品は本当によくできていますよ。


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2003年9月20日(土)

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