第1290回
コピー商品が生産技術のバロメーター

中国人は器用で模作、
模造の才能があると言いましたが、
それは陶磁器や古道具の分野だけでなく、
ニセモノのブランド商品の生産にも発揮されています。

上海に行っても、北京に行っても
有名ブランドのニセモノばかり集めて
売っている店があります。
それが軒を並べて町になっているところもあれば、
取締りをおそれて隠れ家のようになっている店もあります。
私は人に案内されて行ったのですが、
ルイ・ヴィトンのコートもあれば、
ダンヒルのベルトもあれば、
プラダのバッグもあります。
知らない人にはふっかけますが、
知っている人でもまだ2割や3割は値切れます。
コストは恐らくブランド商品の10分の1でしょうから、
その間のどの値段で売っても付加価値があります。
高く買ってくれる人があればよけいに儲かるし、
安くてもコストより高く買ってもらえれば、
儲けが少いだけで商売になります。

近年、模造品の品質がおそろしく改善されて
本物と全く見分けがつきません。
私は香港でダンヒルの本物のベルトを
香港ドル1200ドルで買ったあと、
北京でその模造品を150元(140香港ドル)で買いましたが、
どちらがどちらか区別がつきません。
使い心地にも変わりはありません。
ベルトの革の部分もさることながら、
止め金の型からメッキに至る加工技術に
格段の進歩が見られるのです。

私と一緒に旅行に行った人が
1人で上海のクラブに行って
片言の中国語を交えて女の子に
「お土産に何を買って帰ったらいいかな?」ときいたら、
向うも片言の日本語で
「ニセモノのブランドが1番よ」と答えたそうです。
むろん、「かくして持って帰れ」ということでしょうが、
身につけて帰ったら、
どちらがどちらかわからないくらいの出来栄えになりました。
学問のマナビはマネビから変化した言葉であると
言われていますが、
たとえ人眞似からはじまった技術でも、
これだけ長足に進歩したら、
小バカにしているうちに
マーケットを根こそぎとられてしまいます。


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2003年9月21日(日)

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