第1305回
魅力のなくなったオーナー・シェフの店

日本でも少し前までは
料理人に社会的地位がありませんでした。
板前やコックは家が貧しかったり、
勉強ができない子供が見習いに行かされて、
手に職をという形で身につけたものです。

戦後、欧米の文化が身近になり、
フランスなどでシェフと呼ばれる人たちが
ちやほやされているのを見て、
日本の青年たちの中にも
大学を出てからもう一度、
料理学校に入りなおしたり、
フランスの有名レストランに弟子入りする人がふえて、
先ずフランス料理のシェフからはじまり、
ついでイタリア料理や日本料理や
中華料理の料理人の地位を
少しずつ押し上げるようになりました。
もちろん、その背景には社会が豊かになり、
お金を払って外食をする人がふえて
レストランが事業として成り立つようになった
という大きな変化があります。

従って最初は資本を出してくれる人がいて、
料理人は傭われて台所に立ちましたが、
そうした人たちの中に
経営的な才能のある人もあれば、
資本の調達ができる人もあって、
オーナー・シェフと呼ばれる
一群の料理人が輩出しました。

自分の利益につながる仕組みですから、
オーナー・シェフの方が
傭われシェフよりは眞剣です。
次々とそういう人たちが現われた20年前、
日本のフランス料理界は綺羅星の輝く賑やかな舞台でした。
日本のフランス料理はもしかしたら
本場に負けないくらいの水準に達するのではないかと
期待されました。
ところが、実際に時間がたって見ると、
店を何軒も持って、
資本家の端くれに雁首を揃える料理人は
あるようになりましたが、
経営に気をとられて料理の改善がおざなりになり、
十年一日のごとく同じ料理を出す
オーナー・シェフの店だらけになってしまいました。
いまのような状態ならフランス料理は
日本で新しくひらくビジネスの一つには数えられないでしょう。
現に新しくオープンする店の案内をもらうことは
めっきり少くなってしまいました。


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2003年10月6日(月)

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