第1307回
東京に中華の三つ星レストランはない

私は日本で中華料理屋に行くことはあまりありません。
珠に地方講演に行って
どうしても宿泊しなければならない時、
「何かお好みがありますか」ときかれると、
「中華料理以外ならなんでもかまいませんが」
と答えることにしています。
中華料理が嫌いなわけではありません。
1ヶ月のうち、大陸、香港、台湾にいる時間が多く、
中華料理を食べることが多いせいもありますが、
日本の中華料理は本場に比べると
かなり見劣りがするからです。

日本の中華料理は横浜や神戸や
長崎のチャイナ・タウンからはじまっています。
いずれも本職の中華の職人がひらいたものではなく、
船乗りが船から下りて
身すぎ世すぎにはじめた中華料理屋ですから、
香港や台北とは比べ物になりませんでした。
やがて占領下の東京に
香港からプロの中華料理屋が進出するようになり、
一頃は格段の差のある高級中華が
一世を風靡するに至りましたが、
負けじと横浜の二世たちも
そのあとを追ったので、
昨今ではその差がなくなりました。

しかし、日本の入管はアメリカやイギリスに比べると、
中国人の入国にきびしく、
香港や台湾の料理人たちも
日本を敬遠する傾向が強かったので、
日本に定着する中華のプロは少く、
中華料理のレベルは残念ながら
フランス料理やイタリア料理と
同日に論ずることはできません。
むろん、香港から進出した福臨門のような例もありますが、
東京や大阪の福臨門で香港の本店並みの料理を注文すると、
倍の値段を払っても同じレベルの料理ができてきません。
同じレベルの料理を期待するより、
私ならちょっと香港へ一走りということになってしまいます。

日本人は改良の才がありますから、
日本人の中華のコックの中にも
創意工夫で評判をとっている人が何人かいます。
でもミシュランのガイドブックで
三つ星をとれるような中華レストランがあるかというと、
いまのところ残念ながら
まだ一軒もありません。
そう言えば香港や上海の一流のレストランの厨房で
日本人の姿は見かけたことはほとんどありません。


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2003年10月8日(水)

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