第1308回
アジアのエスニック料理の時代がきます

料理のレベルの高い国で、
料理人の地位の一番低いのは
多分、中国でしょう。
香港や台湾のコックの長で高給をもらい、
車で送り迎えをしてもらっている人も
たまにはありますが、
ジャーナリズムによく顔を出し、
名の売れている料理人はほとんどいません。

でも国民所得が向上し、
人々が食べることに重きをおくようになり、
料理屋が企業としてちゃんと利益を生むようになれば、
先進国はどこもそうですから、
やがて中華料理圏でも
料理人の地位があがることは目に見えています。
日本でも日本料理の板前さんが
少数の例外を除いて最後まで取り残され、
料理人を目指す若い人たちは
専らヨーロッパにフランス料理を習いに行き、
フランス料理のシェフになった人たちが
世間からもてはやされる先頭に立ちました。

中華料理の場合は
本場の厨師が技術者ではなくて
職人としてしか扱われていませんでしたから、
それを習いたいと思う日本人も少かったし、
腕のいい人たちも集らなかったのだと思います。
そのために日本における中華料理のレベルが上がるのが
遅れてしまいましたが、
その半面、兵隊で中国大陸に行っていた日本人が
日常生活の一部として持ち帰った拉麺や餃子が
ラーメン、ギョウザという名前で日本に定着し、
日本風に改良されて、
遂に日本から逆輸出されるまでに成長普及しました。
インスタント・ラーメンに至っては、
日本で企業化されたものが目下、
中国で急速に普及していますから、
どちらが元祖かわからなくなっています。

して見ると、次の時代のライフ・スタイルを代表する料理は、
フランス料理でもアメリカ料理でもなく、
中華料理とイタリア料理で
それに改良改善を加えた日本的味つけ
ということになるかも知れません。
中華料理に対する日本的味つけは
まだ本物の習得が中途半端なので、
これから日本の若い人たちが香港や上海に
ドンドン修行に行く必要があります。
日本人が中国に逆上陸して
中華料理屋をひらけるくらいにならないと、
アジアのエスニック料理ができあがったとは
言えないでしょう。


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2003年10月9日(木)

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