第1321回
あなたのアイデンティティは?

国境をこえて多くの人々が
自由に往き来するようになったせいか、
この頃は
「あなたのアイデンティティはどうなっていますか」
とよくきかれるようになりました。
アイデンティティとは「身元」というほどの意味ですが、
「正体は?」といった方がききたいことに近いでしょう。

そういう場合、
「私は台湾生まれのアジア人です」
と答えることにしています。
少し前までは、「私は日本人です」「私は中国人です」
「いや、私は台湾人です」と答える人が多かったと思います。
アメリカだけは世界中からの移民で成り立っている国ですから、
「私はポーランド系のアメリカ人です」とか、
「私はアメリカ籍を持った中国人です」とか、
少し説明が必要でした。

それでもその国に生まれて育ったり、
移民であっても長くその国の気風に染まり、
共同体の一員としての意識を持つようになると、
肌の色が違っていても、
共同体の一員としての
国に対して忠誠心を持つようになることは
珍しいことではありません。

共同体の一員としての意識を持つようになると、
集団の利益を守るために
個人の利益を犠牲にしますから、
どこの国でも愛国心を昂揚する教育をします。
愛国心は生まれながらに
人間にそなわったものと思うかもしれませんが、
国がなければ愛国心が生まれるわけもありませんから、
人類の歴史のある時点で
つくり出されたものと言ってよいでしょう。

国が薩摩藩とか、
土佐藩とかいう大きさであった時は、
領主に忠誠を誓うことが国を愛することでした。
藩と藩との境がなくなり、
国が日本国というスケールに拡がると、
愛国心の対象は
日本列島全部の大きさに拡大されました。
国の利益を守るために、
日本人は生命をおとしたり
青春を棒にふったりしたのです。
もしそうだとしたら、国境の壁が崩れおちたあと、
次はどうなるのでしょうか。
いまの時点ではまだ日本人だ、
中国人だと言っていますが、
薩摩っポとか、土佐っ子とか
さすがに言わなくなりましたね。


←前回記事へ

2003年10月22日(水)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ