第1331回
シャトーQの夢はうたかたと消えたが

雲南省には
これと名の知れたワイン・メーカーが3社あります。
葡萄畑は有名な石林から
少し南に下がった一帯に広がっています。
その中の一番勢いのいいワイナリーを見に行ったのですが、
ヨーロッパにあるシャトーとは
似てもつかないものでした。

スケールは大きく、
醸造用の大きなタンクが並んでいましたが、
葡萄をつぶしてタンクに入れて醗酵すると
すぐ瓶に詰めてラベルを貼って出荷します。
年商2億元はあるそうですから、
日本円にすると30億円になり、
かなりの生産量があります。
工場のすぐ脇に穴を掘って
貯蔵用の穴倉を建築中でしたが、
ボルドーのような
自然に温度の調節のきいた天然のセラーとは
似てもつかぬものでした。

来客用のバーで試飲させてもらったワインも
とても満足の行くものではなく、
いまの中国料理の宴会で
ワインにコカコーラをまぜて飲む人があるときかされても
驚かないようなレベルのものでした。
私たちが味にうるさいお客さんであることを知ると、
工場長さんはあわててとっておきのワインを持ってきて
あけてくれましたが、
どちらにしても私たちが期待していたものと
程遠いものでした。

一般の消費者向けのワインが駄目でも、
「中国にもいいワインがあります」
と自慢できるようなワインをつくるシャトーを
目標としていたのですが、
はたしてこの一帯が
ワイン用の葡萄を栽培するに適したところかどうかも
あやしくなってきました。
上等のワインは後廻わしになっても、
せめてシャトーから先につくろうという夢も
これでうたかたと消えてしまったようなものです。

もっともこれでおしまいということでもありません。
北京にイタリア料理屋をつくって
雲南のワインが出せないかと
ひそかに期待したのが
パァになってしまっただけのことです。
昆明が駄目でもトルファンもあれば、
敦煌や蘭州もあります。
もしかしたら、山東省の煙台が
トップを切るようになることも考えられます。
何と言っても中国は広いところですから。


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2003年11月1日(土)

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