第1336回
賃下げを制度化している国もあります

日本では退職者の募集をして、
失業をした人が新しい職場を見つけて
再就職するのが一般的ですが、
日本より解雇の条件がゆるやかな国々では、
退職か賃下げのどちらかを選択する道もひらかれています。
考えて見たら、不要になった人間は解雇して、
残った人間はいままでと同じ条件で働けるというのでは
不公平だと言えないこともあります。

香港は株も不動産も
その時々の相場で容赦なく動きます。
日本では不動産の売買価格は大きく動きましたが、
家賃はほとんど膠着したままです。
不服なら契約期限が切れて再契約をする段階で、
もっと家賃の安いところに移るのが関の山です。
それに対して香港では不動産の値段が下がれば、
契約切れで家賃もほぼそれに比例して下がります。
たとえば、セントラルや湾仔の事務所ビルの価格は
3分の1以下まで下がりましたが、
家賃も40ドルか12ドルまで下がってしまいました。

それと同じように働いている人たちのサラリーも
新しい職場に移れば、
新しいサラリーでしか雇ってもらえません。
そこで中小企業では政府の定めた規定によって
従業員に退職金を支払って全員を解雇し、
同じ日に「君はこの条件で再雇用する。
嫌ならほかで仕事を見つけて下さい」
という人員整理が行われています。
雇用資金の一部を政府が補助して
事なきを得ていますが、
それで何の文句も出ないのも
土地柄といってもよいでしょう。

物価と景気の実情に比例して
賃金の調節もやっているわけですから、
或る意味で、時代の変化に対応出来るシステムに
なっていると言えます。
その点、日本は社会的慣習を変えるのも難しいし、
政府がきめた制度や規定を変えるのは
それよりもっと困難です。
企業としては対応したくとも対応できませんから、
いっそ生産拠点ごと引越しをした方が早いとばかりに
工場の移転を選びます。
すると職場そのものがなくなってしまいますから、
失業者はふえることはあっても
減少するわけではありません。
新卒の半分が職からあぶれることが
珍しくなくなってしまいます。


←前回記事へ 2003年11月6日(木) 次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ