第1337回
日本国中が臨時雇いで成立つ国へ

私は日本は潜在的失業者の国だと言いましたが、
失業はだんだん顕在化する方向に向っています。
時期によって人員の整理が盛んになったり、
下火になったりするので、
2年くらい前はどこの大企業も退職金の支払いで
経常収支が大赤字になったことがあります。

昨年、今年はそうした臨時支出が減少したので、
企業の業績が恢復に向っているかに見えますが、
本格的に景気が上向きになったわけではありません。
むしろアメリカの赤字体質に不安を抱いた国際資本が
同じ赤字体質なら先行して底を打った日本の方が
まだ安心だとばかりに日本株に向ったことが、
錯覚を更に盛り上げたと見た方が正しいでしょう。

ただ国際的な資金の流れは
氾濫する河の洪水と同じように
一ぺん、一つの方向に動きはじめると
途中で堰とめることができません。
したがって日本の株を押し上げる力は
当分、衰えないので、
日本株に対する世界の関心は
まだまだ続くと思います。

しかし、それによって消費市場が
活気を取り戻すとは思えないので、
企業が新しい設備に走り、
一旦解雇した人たちを再雇用したり、
新卒を大量に採用することになりそうもありません。
新規の設備投資も大半が
海外に投じられるので、
企業の業績には功献しても
失業率の減少には
つながらないと考えるべきでしょう。

そうなると、
企業は現に働いている社員の首を切るよりも、
新しい採用を控えるようになります。
新卒の失業はヨーロッパ並みの新しい社会問題になります。
同じように就職して日の浅い弱年層は
ガマンすることに馴れていませんから、
折角、就職をしても既成秩序に魅力を感じない者は
平気で会社を辞めてしまいます。
中年から上も再就職に困りますが、
弱年層もそれに負けず
新しい職場を見つけることに難儀します。
そういう若者たちはとりあえずメシにありつくために、
フリーターをやったり、
人材派遣のエスカレーターに乗ったりします。
日本国中が臨時雇いで成り立つ方向に向っているのです。


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