第1338回
石橋を叩く前に渡る人、叩いてから渡る人

大企業も中小企業も
次の生産拠点はコストの安い外国に移ります。
資金があっても、次の新しい設備投資は
海外でやりますので、
設備や機械に投じられる資金のかなり部分は
国内のメーカーを潤おすことが考えられますが、
安い賃金が目的ですから、
国内の雇傭をふやすことにはなりません。
むしろ国内の労働力に対する需要は
ジリ貧の方向に向います。
つまり企業は国際的な展開をすることによって
斜陽化から逃がれる試みをやっているのです。

もし働く者の方が
同じ一つの場所に固執して動くことを知らなければ、
当然、おいてきぼりにされてしまいます。
でも人間には2本足があり、
どこに動くこともできます。
獣だって食べる物がなくなれば、
餌のある所を探がして動きます。
足が不自由で移動ができなかったり、
動くことを知らない動物は
座して飢死を待つことになりますが、
人間は年寄りや子供だって
餌を見つけてくれる人について動きます。
だから次の時代は「民族の大移動」というよりは、
「家族の大移動」の時代です。
但し、それに先立って「個人の大移動」がはじまります。
さしあたり、身軽で元気のよい若者が
その先陣を受け持つことになります。

一口に若者と言っても向う見ずの者もあれば、
石橋を叩いてから渡る人もあります。
「向う見ず」というのはこのような人のことで、
「石橋を叩く人」は「叩いて渡る人」と
「叩いても渡らない人」がいます。
向う見ずは叩く前に渡りますから、
これと思ったらもう実行に移していますが、
石橋を叩いて渡る人は
さしづめどこかの会社に就職して
その会社の海外駐在員を志願するのが安全でしょう。
会社のお金を使って会社の危険負担で動くのですから、
当然、及び腰で、姿勢は本社の方を向いて
少しずつ後ずさりをしているようなものです。
それでも見たことのなかった世界が
少しずつ見えてきますから、
これで安心だと思うようになったら、
徐々に下車すればいいのです。
それでも石橋を叩いても渡らない人よりはましです。


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