第1447回
香港ドルに鞘寄せするのが第一段の動き?

これから一年間、
世界の経済情勢に一番大きな影響をあたえるのは
人民元の切り上げだと私は見ています。
人民元の切り上げを
最も声高に要求しているのはアメリカですが、
人民元の切り上げによって
一番傷つくのも恐らくアメリカです。
平価が切り下げになるということは
その国の経済の実態がよくないということにほかなりません。
したがって今後もその状態が続くことを
広く天下に公表するようなものだからです。

しかし、このことは
中国政府が切り上げに反対すれば、
人民元の切り上げをいつまでも
先延ばしにできるということではありません。
人民元の切り上げを催促しているのは
アメリカ政府ではなくて、
中国に日を追って貯まるドルにほかならないからです。
昨今のように対米貿易が月に
100億ドルをこえる黒字が続くと
赤字になる貿易相手国もありますが、
長期投資資金の純増もありますから、
平均して外貨保有高が月に100億ドルずつふえます。
すると人民銀行は土曜日曜も入れて毎日、
3億ドル分ずつ人民元を発行し続けなければなりません。
為替レートを調節するために
日本銀行がドル買いをやっても、
日本円の利息はドルの利息より低いので、
日本は利息の鞘が稼げますが、
中国が同じことをやると赤字になってしまいます。
その上、人民元の大量発行によって
過剰流動性が発生して
資産インフレをもたらしますから、
その圧力に耐えて行くことができなくなってしまうのです。

ですから中国政府は色々と言い訳をしていますが、
人民元の切り上げをいつまでも
引き延ばしにしているわけには行きません。
しかし、それがいつかということよりも、
中国政府が次にどういう対策に出るかという方が
もっと切実でしょう。
さきにも述べたように
私は中国政府は一挙に人民元の切り上げをするよりも、
いまの人民元の浮動幅を拡大して
小出しに切り上げをすすめる方法を選ぶと見ています。
さしあたり1ドル8.277を
香港ドルと同じ7.887ドルまで拡げれば、
人民元と香港ドルの0.5%の差がなくなってしまいます。
それは中国政府にとっても都合がいい。
だから恐らくあまり抵抗はないでしょう。


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