第1596回
中国では年に鉄の需要が3000万トン増えています

最近、日本の景気がかなり戻り足になっていると
新聞が度々、報導するようになりました。
トヨタ自動車が1兆円、
キャノンが5000億円も利益をあげ、
それに右並えをする大企業がかなり多くなりましたので、
もしかしたらと考えている人も
ふえているのではないかと思います。

また鉄も石油も石炭も
原料から素材に属する分野の値段が
値上がり気味なので、
デノミの脅威は遠ざかったと
胸を撫で下ろす議論も見られるようになりました。
しかし、何が原因で
日本のオールド・エコノミーに属する業界まで
一息つくようになったかを調べて行くと、
その原因は中国大陸の生産が
勢いに乗りはじめたことと関係があります。
新日鉄の三村社長さんが
文春の8月号で書いているように、
中国ではこの2年で
毎年3000万トンずつも鉄の需要が伸びています。
新日鉄一社の総生産量にも
相当するような量がふえるのですから、
鉄の生産と値段に及ぼす影響は大へんなものです。
おかげで一昨年まで大赤字だった新日鉄が
昨3月期の決算で
1700億円あまりもの利益を計上したのですから、
何が起っているか
おわかりいただけると思います。

日本の10倍の人口のある中国で、
工業化によって少し経済が上向きになると、
アメリカのクシャミどころではない騒ぎが起るのです。
これは鉄だけに起ることではありません。
石油製品にも、アルミにも、
セメントにも、電力にも及びます。
従って製鉄や石油製品の生産に必要な原料や
それを運ぶ船舶の不足にまで
大きな影響をあたえます。
中国では製鉄所をはじめ設備投資ブームが盛んですが、
それらが完成して供給が需要に追いついたら、
今度はその反動が来て、
軟着陸が不可能になるのではないか
という心配も当然出て来ています。

しかし、実際に起っていることは
量だけで結論が出せるような
そんなに単純なものではありません。
一口に鉄と言っても、
建築用の丸棒と自動車の鋼板は
全く別のものなのです。
ちょうどセメントにも高速道路に使えるものと
使えないものがあるのと同じです。


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