第1622回
香港の魅力は日々色褪せて行きます

折角、家まで買って
香港に住むようになったのに、
また香港から引越して
はじめからやりなおすことはないと
思う人もあるでしょう。
私くらいの年齢になれば、
そう考えるのがフツーだと私も思っています。

でも香港が中国に返還されて、
一国両制の特別行政区になって見ると、
大陸情報の発信地としての優位は
ほとんど失われてしまいました。
一頃、香港では中国共産党を猛烈に批判する
反共雑誌がとても受けていました。
いまもこれらの雑誌は出版されていますが、
論調もトンチンカンで、
全く威力を失ってしまいました。
どうしてかというと、
中国政府そのものが
もはやかつての共産党一党独裁の地位におらず
力一杯叩いても大きな音がしなくなってしまったからです。
恐らく叩く方も叩かれる方も
そういう変化に気づいていないに違いありません。
つまり誰も気がつかないうちに、
経済の構造が変わり、
お金の流れも変わったので、
人々の政治意識に変化が起り、
政府に期待もしない代わりに
政府に対する抵抗も少くなったのではないかと思います。
現に昨今、政府に対する批判があるとすれば、
金融引締めをどこまでやるのが正しいかといった
政策論争に集中しており、
大上段に構えた共産党批判や
民主分子の摘発とかいったニュースは
すっかりかげをひそめてしまいました。

それがまた香港の存在価値を
一そううすくする原因にもなっています。
マレーシアやインドネシアの経済発展が
シンガポールの地位をかすませたように、
経済特区の発展だけでなく、
全国的な工業化の進展が
香港に大きな影をおとしています。
あと香港に残った優位は
「税金が安いこと」と
「資金の移動が自由であること」と
「金持になった大陸住民の
 ショッピング・センターになりつつあること」
くらいのものですが、
香港政府にそうした特色を生かす意識がないとすれば、
はたして香港の優位がいつまで続くかという懸念は
日増しに濃厚になっています。
香港で株の売買をするためなら、
電話とインターネットで間に合ってしまいますから、
わざわざ香港に住んでいる必要が
なくなってしまいました。


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