第1629回
やがて日本も高失業国の仲間入り

道がなくとも必要となれば、
人は草叢をかきわけてでも、
目的地に向おうとします。
そういう人が次第にふえてくると、
やがてそこに小さな道ができてきます。
更にその道を通る人がふえると、
小さな道が大きな道になり、
遂には高速道路までできてしまいます。
論語に出てくる私の好きな言葉に
「人能弘道、非道弘人也」というのがありますが、
道とは道路のことだけではありません。
道義とか道徳とかいう処世のルールも、
人間として歩む道の中に入ります。

ところが付加価値を生むチャンスは
時代と共に場所を変えます。
日本にそのチャンスが集中した時代もありました。
戦後のヨーロッパでも
戦争に負けた西ドイツとイタリアが
同じチャンスに恵まれました。
でもチャンスはいつまでも同じところに
とどまっていてはくれません。
経済が復興すると、
かつての敗戦国に住む人たちの生活はよくなりましたが、
その過程で金儲けのチャンスは
よそへまた引越しをはじめました。
アジアで言えば、
日本から中国や東南アジアへと
大変動がはじまったのです。

チャンスに逃げられれば、
逃げられたところに住んでいる人たちは
チャンスに見離されます。
極端に言えば働き場を失ってしまいます。
でもそこに至るまでのプロセスで
お金を貯め込んでいるし、
個人がそれだけ貯め込んでいなくとも、
国家にそれだけの業績ができています、
またこれまでに築き上げてきた技術や
ノウハウという無形の財産もあります。
それで何とかメシは食って行けますが、
中国語で言う「無用武之地」
(実力を発揮する舞台がなくなる)
という厄介な問題が起ります。
大の男が何をしていいのかわからないのでは、
何のための人生ぞということになってしまいます。

生産基地を海外に移した会社から派遣されて
現地に行ったのなら仕事もあるし、
サラリーも下がらないですみますが、
誰もそんなチャンスに恵まれるとは限りません。
ましてや会社という背景をもたない人は、
人生の四辻で立往生してしまいます。
もしかしたら、
自分は世間から見放されてしまったのではないかと、
途方に暮れてしまいます。
これが志のある若い日本人の置かれている
心境じゃないでしょうか。


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