第1744回
ドルを稼いでドルで手痛い目に

日本人がアメリカ投資で失敗したのは、
日本側でバブルがはげおちて
お金が続かなかったこともありますが、
基本的にはアメリカに無知で、
アメリカの事情を読み切れなかったことに
原因があります。

アメリカをはじめ
世界中に自分たちのつくった工業製品を売って
お金持ちになった日本人は
工業製品をつくることに秀でていましたから、
その延長線上で、アメリカに工場進出したり、
第三国に生産工場をつくって
アメリカに再輸出したメーカーは概ね事業に成功し、
なかには自動車や家電製品のメーカーで
世界的規模のメーカーにのしあがった企業も
少くはありません。

その半面、日本人が稼いだドルを持って
アメリカに進出した不動産開発業者や
銀行、ホテル、ゴルフ場、レストランなどの
サービス業者などで大成功をおさめた例は
あまりきいたことはありません。
私も含めて私の周囲で
日本で稼いだお金を持ってアメリカに行って
新規事業をはじめた人たちはほとんどが
廃業したり、撤退したりしています。

一番の読み違いは
為替相場が円高に大きく揺れ動いたことです。
アメリカ進出が大きな流れになったのは、
1ドルが200円ていどになってからあとですが、
最大の被害者は何と言っても保険会社でしょう。
保険で集めた資金のかなりの部分を
アメリカに持って行って
最も安全で有効な
アメリカの国債に投じたのはいいけれど、
200円1ドルで仕入れた物が
180円になり160円になり、
更には100円になってしまったのでは、
巨額の資金だけに
何百億円も何千億円も目減りしてしまいます。
人からあずかったお金ですから
まだいいようなものですが、
これが不動産への投資になると、
ドルで仕入れて値上がりした場合は
所得税の対象になるのに、
ドルの値下がりで日本円に戻すと目減りをして
逆に損が出てしまいます。
資産に投資するなら通貨の強い国に限りますが、
戦後のドルは値下がりする一方でしたから、
日本人はドルを稼いでドルでやられるという
泥沼にはまりこんでしまったのです。


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