第1991回
結婚会館の名前は「陶朱公館」です

中国人は誰でも先ず「名を正せ」と言います。
これは孔子以来の中国の伝統ですが、
呼び名が正しくないと、
中身もうまく行かないというのです。

ですから結婚会館をはじめるにしても、
「どんな名前の結婚会館ですか」
と先ずきかれます。
名前が内容を決定するのです。
上海で日本の人がつくった結婚会館は
「羅曼園」(ロマン園)という名前でした。
結婚式はロマンチックなものですから、
それはそれでおかしくはありません。

私たちのつくる結婚会館の場合は、
ちょうど中華料理屋の屋号も
変えるところでしたから
思い切って「陶朱公館」という名前にする積りです。
陶朱公館では日本人には何のことだか
さっぱりわかりませんが、
陶朱公と言えば少し学のある中国人なら
誰でもすぐにピンときます。
陶朱公は中国の
「お金儲けの神様」とあがめられている
范蠡(はんれい)の別称です。
したがって中国の
「お金儲けの神様」の館で結婚式
ということになります。

范蠡は「臥薪嘗胆」で有名な
越王勾践を助けて呉王夫差を破った知恵者で、
勾践から国の半分をやると言われましたが、
首が長くて口のとがった勾践の人相を見て、
「こういう人は苦を共にすることはできるが、
 楽は共にできない」と言って野に下り、
西施を連れて太湖の畔に逃がれ、
更に山東省に移って
三度び全財産を分けて人にあたえ、
三度び巨万の富を築いて、
財神(金儲けの神様)とあがめられています。
陶は范蠡が最後に落ち着いた土地です。
朱公の朱は中国の御殿に塗られている
朱の色の塗料をつくって
財をなしたことに由来しています。

いまの中国人の大半は
金持ちになることを目標として生きていますから、
「お金儲けの神様」の館で結婚すれば、
自分も金持ちになれると思って
喜ぶのではないでしょうか。
Qコーヒーの店には
「邱公館」という名前がついていますが、
隣り合って「お金儲けの神様」の館があります。
邱公館が「お金儲けの神様」の館ではありません。


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