第2044回
デフレの終焉する兆ざしは見えません

ここのところ、
日本株も久しぶりに戻り新高値をつけ、
出来高が連日30億株をこえる日が続きました。
気の早い人は長く続いたデフレからの脱却が
はじまったのではないかと
希望的観測をしています。

恐らく3月期の決算に続いて
9月期も好決算の企業がふえ、
それが株式市場を
強気にしていることが考えられます。
しかし、日本経済に構造変化をもたらす徴候は
どこにも見当らず、
いま起っていることは
中国の消費市場が年々拡大することから起る
石油や石炭や鉄鉱石などの
資源不足がもたらした価格の上昇と、
もう一つは10数年続いた大不況のために
設備更新を控えていたのが
いよいよ寿命が来て、
国内設備投資をやらざるを得なくなったために、
一頃に比べて工作機械などの受注が
ふえていることです。

インフレ気味になっているのは
いずれも資源の不足がもたらしたもので、
資源の値上がりは物価の上昇を刺戟しますが、
消費が増大する動きではありません。
原料や素材産業のブームは
産業界の一部にプラスになりましたが
そうした素材を加工して
最終消費財をつくるメーカーは
「原料高の製品安」に見舞われて
業績はむしろ悪化しています。
ソニーや三洋のような電気製品メーカーが
空前の大赤字に見舞われているのを見れば、
景気が立ち直っているわけではないことがわかります。

もう一つ、
国内の設備投資が立ち直ったと言いますが、
バブルがはじけてからこの方、
生産メーカーは経費の節約と
借金の返済にだけ気をとられて
設備投資どころの騒ぎではありませんでした。
生産基地が海外に移動して
どうしても工場を建てる必要に迫られた投資は
やむを得ず続行しましたが、
国内に残る可能性のある分野については、
もはやこれ以上再投資を先に延ばすわけには
行かないところまで来てしまったのです。
以上、どちらも国内景気の上昇が
きっかけになったものではありません。
手放しで喜ぶにはまだ少し早すぎるなあと
私は思っています。


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