第2057回
日本はいま岐路に立っています

いまは日本の産業界も中国の産業界も
それぞれの分岐点に立っています。
どちらもどっちに行くのか迷っていますが、
同じ問題で悩んでいるわけではありません。

日本ではそれこそ10何年ぶりに
上場会社の中間配当もふえ、
9月決算の会社の計上益もふえています。
また長い間低調だった国内設備投資が
俄かに活気づいて
この調子なら「デフレにさよなら」する時が
来たんじゃないかという声も
きかれるようになりました。
しかし、皆が物を買いたくなって、
デパートやスーパーにお客がワァッと
集まるようになったわけではありません。
むしろその反対に、
石油や鉄などの原料や素材が
大きく値上がりしたために、
それが交通費や食品にまで及んで
同じ物をいままでより高い値段で
買わされそうなところまできています。

その一方でセールスは
いよいよ激甚になっていますから、
テレビや自動車などの最終消費財は
原料高の製品安で
逆に利益を圧迫されています。
GMがいままでにない大赤字に見舞われたり、
三洋電機やソニーが
創業以来のピンチに曝されているのを見ても、
景気が戻り足になっているわけでないことがわかります。

それでも産業界の財務内容が
かなり改善されたのは、
第一にリストラがかなりすすんで
贅肉おとしに成功しているからです。
どこの会社も借金の返済と縮小に力を入れてきたし、
早期退職や新規採用の見送りで
人件費の節減に努めてきました。
その反面、海外投資のような
緊急な出費は例外として、
設備投資は一切控えてきたので、
もうこれ以上は
引き延ばしができないどたん場まで
追い込まれているのです。
それを「20年ぶりに日本に戻ってきた工場建設」
と表現しても決して間違いではありませんが、
一旦、グローバル化した生産体制を
元へ戻せばよいと
安易に考えない方がいいと思います。
この上、更に一段のグローバル化をすすめるか、
それとも他の国の同業者に道を譲るか、
その岐路に立っているのがいまの日本なのです。


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