第2058回
国境の壁に穴をあけたのは日本人です

私が学生時代に習った経済学で
舞台になっていた単位は
それぞれの国の国境の中にある
いわゆる国民経済でした。
日本の場合は日本国内で起る経済現象、
アメリカやイギリスならそれぞれ
アメリカやイギリスの国内の経済現象が
経済学者たちの学問の対象でした。

もちろん、そうした時代でも、
どこの国民経済も外国からの影響を
無視することはできませんでした。
アメリカで1929年に起った世界大恐慌が
日本にどんな影響を及ぼしたか、
また第二次世界大戦がそれぞれの国に
どういう変化をもたらしたかは、
国によって大きな違いがあります。
しかし、どこの国も戦争によって
自分の国にもたらされた変化が一番大きかったので、
その対策に気をとられて
とてもよその国のことにまで
手は廻わりませんでした。
戦後にしても、
世界中の経済復興に一番深くかかわったのは
アメリカくらいなもので、
あとはどこの国も
自分らの国の問題解決に追いまくられて、
よその国のことを考えるだけの余裕など
ありませんでした。

日本にしても、
国内で加工した製品を輸出して
外貨を稼がなければ、
輸入する原料や食糧の代金が支払えなかったので、
どんな物をつくってどんな値段で売れば、
どこの国に買ってもらえるか覚えるのに精一杯でした。
そういう輸出がふえるのか減るのかよりも、
さしあたり金ぐりがどうなっていて、
皆のサラリーが払えるのか、
振り出した手形が期日にちゃんと
おとせるのかというのが大問題でした。

ですからお金がうまくまわるかどうかが
一番の関心事で、それを大きく左右したのは
国内の景気不景気のサイクルでした。
昔と一番違ったことは
自分たちがつくった物が外国に売れないと
メシが食えなくなったことで、
それが日本の経済を大きく変え、
そうした日本の動きがいつの間にか
世界を大きく変えてしまったことです。
でも大半の日本人が
日本国内にとどまったままで起ったことですから、
それがどう意味を持っているのか、
日本人自身すら知らなかったのです。


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