第2060回
資源国でない日本が証明して見せた事

連合軍(と言っても、実質マッカーサー将軍)の
占領下における日本の工業化と、
戦前の大日本帝国の下における工業化には
一つ大きな違いがありました。
戦前の日本も、
同じように地下資源に恵まれない4つの島でしたが、
軍事力を背景として勢いのある国でしたから、
資源を確保するために
植民地の拡大に力を入れていました。
第二次世界大戦にまで拡大した
日本の領土拡張作戦も、もとを言えば
資源の乏しい本土の欠点を補うための
富国強兵策だったのです。
これはひとり日本だけがやったことではなく、
世界の諸列強が
なりふりかまわずやったことですから、
強国側にとっては国威を発揚するいい機会でしたが、
植民地化される世界中の弱体国にとっては
迷惑もいいところでした。

しかし、資本主義が爛熟の段階に入ると、
資本主義の本家本元であるヨーロッパでも
資本主義に反対する
マルキシズムが抬頭しはじめたし、
また帝国主義が全世界の地図を
ほぼ塗りかえたところで、
帝国主義と帝国主義が
角を突き合わせるようになり、
やがて同じマルキシズムを背景に
反帝国主義、反植民地主義の運動が
世界中の隅々から捲き起るようになりました。
日本の大東亜戦争にしても、
それ自身は帝国主義的な軍事作戦であったのに、
欧米帝国主義からアジアの諸民族を解放する
建て前を打ち出していました。
但し、それを本気にしたのは日本人くらいのもので、
日本に占領されたアジアの国々で
それを信ずるほどおめでたい人たちは
先ずいなかったと言ってよいでしょう。

戦争に負けて
4つの島に閉じ込められた日本人が
メシのために本気になって
工業化に乗り出した時、
工業生産の原料になる資源は
何ひとつ日本人の手に残っていませんでした。
原料を手に入れるために、
日本人はいちいちお金を
払わなければならなくなっていたのです。
しかし、結果として
資源を自分たちの支配下におかなくとも、
資源国よりももっと金持ちになれることを
日本は世界中に証明して見せたのです。


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