第2080回
経済は一足先に統一してしまいました

台湾の企業が
たいへんな勢いで大陸進出するのに
ブレーキをかけるために、
台湾政府は投資金額いくら以上は
政府の許可を必要とする、
無断で禁を犯す者は
処罰するという法令を出しました。
でもお金は自由に持ち出せるし、
香港から申請すれば法令に低触しないので、
中小企業や個人事業家は
政府のおふれを無視しました。
既に上場をしている会社の場合でも
会社で投資をすれば、
事前に台湾政府に
許可の申請をしなければなりませんが、
会社のトップが自分の会社の株を一部処分して
(あるいは別の資金を使って)
香港から投資をすれば、
全く同じ技術畑の生産を大陸でやることができるので、
当然のことながら、
大半の進出企業がこのルートを使いました。
政府は技術の移転を禁じましたが、
全く何の効果もなく、
台湾の企業で大陸で生産をしたら
有利な企業は大小を問わず、
ほとんど90%が大陸へ生産基地を移したと見て
間違いありません。
中国からIT関係のパーツの対米輸出が急増したのも、
また運動靴や衣料品の輸出が急増して
貿易摩擦の原因になっているのも、
台湾企業の大陸移動と密接な関係があります。

かつてアメリカ向けの輸出で
人口当り世界一の外貨準備高を積み上げた台湾が
大陸貿易で年に200億ドル以上も
貿易黒字を稼ぐようになったのも、
台湾企業の多くが大陸に生産基地を移して、
原料や半製品や生産設備を
台湾から大陸へ送り込むようになったからです。
お金の往き来から見る限り
台湾は大陸とは既に一つにつながっているし、
台湾海峡を遮断したら、
台湾の経済が成り立たないところまで
統一されています。

にも拘らず台湾政府が政治的な独立を主張し、
飛行機の相互乗り入れさえ拒んでいるのは、
経済的な統一と政治的な利害関係は
必らずしも一致しないからです。
でも頑なに統一する経済に壁を設けても
何の役にも立たないし、
政治が経済にとり残されてしまいます。
ですから経済的な一本化と
矛盾しない政治的な体制はどうやってつくるのか
最終列車に乗っている政治家たちは
手さぐりでさぐりあてる必要があります。


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