第2083回
未来の地図を拡げて考えましょう

いま中国で起っていることをよく見て下さい。
ことしの経済成長率は9.2%ですが、
来年も再来年も8%台は
いまの勢いで続くと見てよいでしょう。

そうすると、
国民所得は10年で倍以上になります。
13億の人が毎年毎年、所得をふやして、
ふやした所得で物を買うとすれば、
消費が物凄いスピードでふえ続けます。
あんまりふえ続ければ、
物が足りなくなって物価が上がり、
インフレに見舞われることもあり得ることです。

しかし、そんな先のことまで考えなくとも
年に7%も8%も所得が上昇し続けて、
そのお金が生活に必要なものを買い続けるとしたら、
それだけで中国は世界で先端を切る
一大消費市場にのしあがります。
既にそのきざしは原料の高騰という形になって
産業界に大きな刺戟をあたえています。
新日鉄をはじめ、石油化学の分野でも、
供給不足による値上がりが続いていて、
この10年に考えられもしなかったような
大変動が起っています。
これが長期にわたって続くとすれば、
アメリカや日本などの消費市場も
貿易摩擦のタネになりますが、
恐らくそれ以上の信じられないくらい大きな規模で
中国の消費市場が世界の産業界を
左右するようになるのではないでしょうか。

つまりいままで考えられなかったような
商品需要の構造が起ることを、
日本の産業界はまだ頭に描ききれないでいるのです。
そこで自分たちが現に住んでいるところとか
工場のおいてある位置にこだわって、
目先のことで争うことになるのです。
もし中国が毎年のように
7%も8%も経済成長を続けて、
いまの日本の10倍もの消費が実際に起るとなったら、
日本企業の生産工場はどこにおくのが正しいのか
再考しなければなりません。
いや、そもそも自分はどこに住んで
どこで働くのが正しいのかも
考える必要があります。
地図はいまの地図を拡げて見てはいけません。
未来の地図でなければ役に立ちません。
そんな地図はどこに行ったら売っているのでしょうか。


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