第2099回
「借金も財産のうち」の時代が過ぎて見ると

高度成長時代は
「所得を発生させずに資産をふやす」術を
心得た人だけが大金持ちになりました。
といっても資産をふやすためには
資産を手に入れるための資金が必要です。
資金は銀行から借り入れることができれば
間に合いますが、
そのためには銀行の信用がなければなりません。
そのためにはほかに収入の道があって、
必らず利息が払え、元金が返えせることを
銀行に納得させる必要があります。

五島慶太とか堤康次郎とか言った人たちは
鉄道という仕事に手を出して、
現金収入があることと
担保に入れる不動産や株を持っていたので、
銀行が安心してお金を貸しました。
後発の中内功さんも薬のバラ売りから出発して
スーパーで日本国中を制覇しましたが、
銀行から借金できる身分になると、
店をつくる土地建物を
会社で保有する道を選んだので
莫大な借金を抱え込むことになりました。
高度成長期に一番値上がりしたのは不動産でしたから
「所得を発生させずに資産をふやす」ことができれば、
本業はそこそこに儲ける程度であっても
大資産家になれると信じて疑わなかったのです。

まさかこうした万全の策が裏目に出るとは
本人たちはもとよりのこと、
お金を貸した銀行のトップの人たちだって
考えても見なかったのです。
資産のある人ほど借金は多かったし、
順調に事が運んでいた間は
「借金も財産のうち」と
ノンキなことを言っておられました。
とりわけ過剰流動性で余った
資金の貸付先に困った銀行が
不動産を持っていた人たちに
無理矢理お金を貸しにまわったので、
結果として不動産を持っていた人ほど
借金を抱え込むことになり、
それがバブルの崩壊と共に
裏目に出てしまったのです。

お金の流れが土地から離れようとしている時に、
逆にお金を借りて不動産を買った人は
借金が資産を超えてお金に苦しめられるようになり、
やがてお金と縁がなくなってしまいます。
この動きに気がつかなかったり、
気がついても身動きができなくなっていた人たちが
桧舞台から引きずりおろされることになったのです。


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