中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2136回
レストランつきの病院はいかが

私は糖尿病という慢性の病気を抱えていますが、
あまり入院をしたことがありません。
それでも胃腸から血を出したり、
眼の手術のために、
たまに入院することがあります。
この年になれば、
入院する病院も自ら固定して
馴染みの病院に行くことになります。

入院すると、
三度のメシは病院食になります。
病院食と刑務所の食事は時間が決まっています。
向うは事務的に早く片づけたい仕事の一つですから、
一般の人が家庭や外食で食べる時間より
早いのが常識です。
私は大学生時代に「思想が悪い」と言って
憲兵隊の留置所に一週間ほど
入れられたことがありますが、
食糧の不足した戦時中のことでしたから、
メシを出してもえるだけでも有難いと思いました。

手術や治療のため
入院をするようになってからは、
ホテルに負けない立派な部屋に
通されるようになったので、
食事も昔に比べて
立派なものが出てくるようになりました。
大ぜいの患者を抱える大病院としては
患者の食事に対する要求を
レストランのように
いちいちきいているわけにも行かないでしょうが、
目の手術をする人に病人食を食べさせるのも
考えて見れば気のきかないことです。

20年ほど前に
スイスのレマン湖の畔にある
若返えりの注射をする病院に
夫婦で一週間ほど入院したことがありましたが、
この病院では
入院患者が病院の中にあるレストランに行って
自分の好きな料理が
注文できるようになっていました。
グレタ・ガルボもチャップリンもチャーチルも
入院したことのあるところだそうですから、
食事も高級レストラン並みの素晴しいものでした。
それでも途中、一回だけ
病院のレストランをすっぽかして
ジラルデの三つ星のレストランまで
夕食に出かけたことがあります。

もし日本でも
それに似た病院を企画する人があったら、
きっと人気を呼んで
どんなに高い入院料をとっても
きっといつも満員になるでしょうね。
同じやり方の病院ばかり
多すぎると思いませんか。


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