| 第2253回温州に行って誰でも考えたくなる事
 折り返えし運転の電車に乗ったような気持で、ヨーロッパの有名ブランドのOEM専門の町、
 温州へ行ってみると、
 フォーマルなジャケットは全く駄目ですが、
 カジュアルなカッコをするためなら、
 目の醒めるようなファッションの店がズラリと並んでいます。
 五馬街というところがショッピングの中心地ですが、その隣りの通りも路地裏も、また通りとクロスする並びも、
 すべて衣料品屋で埋まっていて、
 世界的に有名なブランドの店を挟んで、
 名も知らぬ店がギッシリ詰めです。
 名も知らぬ店と言っても、
 全く見栄えのしない商品が並んでいるわけではなく、
 昨日まで有名ブランドの下請けをしていた店もあれば、
 有名ブランドの下請けをやりながら、
 自分のブランドの商品を堂々と売っている店もあります。
 従ってあきらめずに丹念に一軒一軒覗いて見ると
 思わぬチャーミングな拾い物に出食わす楽しみがあります。
 特にお隣りとあまり違わないジーパンやシャツが
 十倍と十分の一の値段で並んでいるのを見ると、
 誰だって商売氣を起して、
 この格差をうまく利用する方法はないものかと
 考え込んでしまいます。
 私は2日間いた間に、ジーパンを16枚と
 シャツと刺繍のある肌着を合わせて13枚と
 夏物の軽いジャケット2枚と
 ディオール(あるいは模造品か?)のブリーフ2枚とベルトを2本、
 それに皮靴4足を買いましたが、
 合計で何と7,200元、つまり10万800円の支出でした。
 私が着られるくらいですから、
 日本のデパートで買うのとそう違いはありません。
 ならば温州で仕入れてきて日本の店に並べて売れるかというと、そうは問屋が卸しません。
 日本人の好みにぴったりというわけに行きませんし、
 ちょっとしたところに
 神経が行きとどいていないところがあるからです。
 そのままは使えないけれども、
 日本人に合うデザインを施して、
 もっと手間のかかった仕上げをすれば、
 日本ではとても考えられないような
 素晴らしい商品ができてくるのではないでしょうか。
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