中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2255回
アイデアだけではうまく行かない新商売

自分がやりたいと思ったことがすぐにやれるとは限りません。
またやって見たけれど、思うような結果にならなかったことが
そのまま塵に埋もれてしまうとも限りません。

私は氣が多くて(そういうのを材木屋と言うそうですが)
これまで色んなことをテストしてきました。
ビジネスホテルとか、コインオペのクリーニング屋とか、
自分が最初に手がけて、途中でやめてしまったけれど、
世間に事業として定着したものもあります。
また実際にやって見ると、
思わぬ障害にぶっつかって
ビジネスとして継続できなくなったものもたくさんあります。
たとえば、ビジネスホテルを経営して行く上で、
土地建物のお金まで全部一人で負担すると
何軒もやれるだけの資金が続きません。
それならばホテルの部屋を一室一室分譲して
それをまた借りあげて経営したらどうだろうと
考えたことがあります。
しかし、
たった一人のオーナーと交渉するのなら、まだ何とかなるし、
自分でオーナーをやるなら
そもそも賃貸のトラブルがないのに対して、
100人や150人ものオーナーと交渉するのでは
交渉だけで日が暮れてしまうと考えて断念したことがあります。
のちに同じような発想から出発して
ホテルの部屋を一室一室分譲して手古摺った人がありましたが、
今日それをやる人がいないところを見ると、
やはりネックになるところが
片づけられなかったのではないかと思います。

また1頭が成牛になるまでに2年もかかってしまう牛を
オーナーから預かって子牛から育てる牧場を考えて
台湾で企業化したことがありました。
育って処分したところで利益を折半するテストをしたのですが、
台湾政府が牛肉の輸入をいきなり自由化して
牛肉の値段が暴落したために店じまいをしました。
不幸中の幸で土地が値上がりしたので
土地を処分してオーナーたちに
皆投資したお金を返済することができましたが、
牛に餌をやる人には休日があるのに、
餌を欲しがる牛には土曜も日曜もないのを知って
頭を抱えたことがあります。
同じアイデアで牧場を経営した人が
投資家から詐欺で訴えられた新聞記事を見て、
やっぱりねえ、と頷いたこともあります。


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