中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2258回
工業製品がなくとも人材の産地です

私は特別用事はなくとも、
中国を隅々まで理解するために
時間をつくってあちこち歩きまわっています。
工業化から取り残されたような地方でも、
実際に行って見ると、新しい発見があるし、
ヒントになることがたくさんあります。

たとえば、貴州省に貴陽という省都があります。
どうして貴陽と言うのか、
現地に行くまでわかりませんでした。
貴州省は貧しいところで、三里と続く平地がない、
三日と続く好天氣の日がない、
ポケットに三文のお金がないというように、
太陽がちゃんとでるのが珍しいので、
貴陽という名がついたのだそうです。

そういう貧しいところですが、
おそらく中国人で一番人柄がよくて礼儀正しいところです。
たとえばお土産屋はお客が入ってくると、
「鴨が葱を背負ってとびこんできた」と思って
しきりに愛想をふりまきます。
ところが、お客に買物をする氣がないことがわかると、
途端に豹変してハナもひっかけないような態度に出ます。
ところが、貴陽のお土産屋は
観光客が見るだけだと氣づいても、
最後までニコニコしながらお客を送り出します。
同じように料理屋のウェイターも、
訓練が行き届かない間は氣がききませんが、
お客を扱いなれると、最後まで叮嚀な態度を崩さず、
チップをもらおうものなら、
はじめてのお客でもタクシーに乗るまで送りに出てきます。

はじめて貴州に行った時、そういう印象を受けたので、
もし将来、日本で人手不足が深刻化し、
老人の面倒を見る人とか、農家に後継ぎがいなくなって
海外からの出稼ぎ人を集団で受け入れる必要が起った時は、
貴州の人を連れて行こうと心の中で決めました。
その考えにいまも変更はありませんが、
具体的に話がすすまないうちに、別のところで、
似たような立場におかれている地域のお偉方から
私に人づくりや人材派遣について相談がありました。
たとえば、自動車修理学校をつくるのなら
校舎の提供までしますという話になったのです。


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