中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2263回
感情論だけが片づかないこれからの日中関係

毎月のように日本と中国の間を行ったり来たりしていると、
いやでも色んなことに気がつくようになります。
思いもかけず、よく似たところにぶっつかることもあれば、
似てもつかない考え方の違いに
びっくりさせられることもあります。

なかでも商売のやり方や
物価の違いや技術とか労賃の較差は
経済観念のある人にとっては金儲けのヒントになります。
中国の経済がまだ今日ほど発展していなかった十年前は、
日本と中国の賃銀差は30対1くらいありました。
日本の30分の1くらいの賃銀で
人をやとうことができれば、
何をやっても商売になると思うかもしれませんが、
あの頃は中国人の労働者は全く訓練されておらず、
単純労働くらいにしか使えませんでした。
そういう人たちを集めて
作業のABCから教えているうちに
次第に能率があがるようになると、
あちこちから引く手あまたで、
賃銀も何倍にもあがるようになったし、
もっと賃銀の多いところへ
平気で転職する人もふえました。
しかし、仕事も一人前にこなせるようになり、
賃銀も高くなった方が仕事の能率もあがるし、
その人たちが使うお金もふえるので、
経済は一段と活気を帯びるようになるのです。

ですから、人手不足になったり、電力が不足する中国は
商売がやりにくくなると思うのは間違いで、
そういうトラブルを解決するのが経営者の役目です。
中国における商売のチャンスは
十年前に比べてうんとふえていると
考えるのが正しいと思います。
このまま進めば、中国の工業化は更に一段と高度化するし、
外貨準備高も既に日本を越して
世界一の水準に達しましたが、
更にふえ続けてその動向によって
アメリカの経済が大きく左右されるところまで達してしまいます。
日本は工業化の大先輩であり、
その資金と技術を駆使して
中国で投資をするチャンスにも恵まれていますが、
中国との関係をどう調整するのが正しいのか、
熟考する時期にも来ています。
政治家だけに任せておくわけにいかないと思うのは
私だけではないと思いますが。


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