中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2265回
二国に跨ってビジネスのヒントを考える

日本人が中国でビジネスをやる場合、
どうしても日本と中国の双方を見比べながら、
事業の展開を考えます。
一番知恵のない人のやり方は、
日本でハヤっていることだから、
それをそのまま持ってくればいいと考えることです。
どこの国にも、その時におかれた位置というものがあります。
いまは経済的にどんな位置にあるか、
そこからどういう方向に発展してお金はどんな方向へ流れるか。
また国民性に違いのある場合は、
そうしたお金の払い方にどんな誤差が生ずるか、
少くともカンでそういう違いをとらえる必要があります。

大抵の日本人は現地に進出する場合、
そこに住むようになった日本人を相手にする商売を先ず考えます。
アジア中どこも日本料理屋が最っ先にふえているのは
そういう安易な発想をする人が多いからです。
しかし、いまのように旅行者もふえ、往き来が便利になると、
両国の間の賃金の差や物価の差を
うまく利用する方法はないものかと考える人もふえます。

そういう人が先ず考えることは
旅先で見つけた魅力的な商品を仕入れて
日本へ持って帰って商売にすることです。
しかし、よく考えてみると、
今頃、遅れてやってきたあなたに
そんなチャンスが残っているわけがありません。
もっと目端が利く人でもっと早くにやっている人がいる筈で、
あとは何の役にも立たないものが
店先に並んでいるだけだと考えるべきです。

もし何か残っているものがあるとすれば、
それはその土地の労働力や手先の器用さなどをうまく利用して
消費者に喜ばれる新製品をつくり出すことです。
たとえば、繊維なら3倍、
食品なら6倍から10倍の価格差があります。
その差をうまく利用して大儲けをしているのが
ユニクロだったり、100円ショップです。
しかし、いま頃、その真似をしてももう間に合いません。
やるとすればそういう土地柄の特徴にうまく目をつけて
全くの新分野を開拓することです。
私が色んな事業のアイデアをできるだけこの欄に披瀝しているのも、
皆さんのヒントになればと思っての上のことです。


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