中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2347回
不動産分野で中国人と競争するな

中国の不動産投資はどうなるでしょうかときかれたら、
「まだまだ先があります」と答えるよりほかないでしょう。
仮りに目前、倒産したり、
夜逃げしたりする不動産業者がいたとしても、
中国経済は今後も成長を続け、
恐らくいまの10倍、20倍にもなるでしょうから、
不動産は再び息を吹きかえし、
もっと値上がりすることは大いにあり得ることです。

でも持っている不動産が何倍にも値上がりして、
自分も一緒になって大金持ちになるかということになると、
それはあなたの運次第と答えるよりほかありません。
一つは手抜き工事で建てられた建物や管理の悪い建物は
見るかげもなく荒廃して財産価値がなくなってしまうこともあり得るし、
もう一つは買った不動産が運よくまたとないロケーションにあって
土一升金一升の値をつけることがあり得るからです。
中国の大都会で不動産を買うなら、
ロケーションを中心に場所選びをすることが何より大切です。

しかし、不動産投資やゼネコンや不動産売買を
業として選ぶということになると、話はまた違います。
日本人よりよく頭が回転して、
日本人より抜目のない人たちがごまんといて、
政府の利権や銀行の資金を自由自在に動かせる人たちを向うにまわして、
猛烈な競争に打ち勝って行けるという自信のある人がいたら
どうぞ手を上げて下さい。

清水や鹿島や大成のような日本のゼネコンや、
大和ハウスや積水ハウスやパナホームのような住宅会社の中で、
上海や北京や深などにちゃんとした足場を築いた
日本の不動産企業が1軒もないのを見てもわかるように、
中国人と猛烈な生存競争をやって生き残れることは至難中の至難だからです。
私は中国人が最も得意とする分野で中国人と競争をするよりも、
中国人があまり得意でない職人芸の分野で、
中国人の弱い面を補うのが一番効率があがり、
且つ成功する確率が高いと見ています。
もちろん、不動産の中にもそういう分野の仕事はたくさんあります。


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2006年8月13日(日)

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