中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2349回
証券会社のセールスマンの言うことをきくな

今更、こんなところでそんな話は無用と思いますが、
はじめて株をやる人は西も東もわからないのですから、
ついどんな株を買ったらよいのか、
証券会社のセールスマンにきいてしまいます。
私もはじめの頃は証券会社の支店長さんにききました。
でもすぐに証券会社の人は株について、
殊にこの次、何が起るかについて
何一つ知らないのだということに気がつきました。

毎日、株を扱っているのですから、
過去にどんなことが起ったかはよく知っています。
でも将来については皆目わかっていません。
私たち、証券会社の外にいる人よりもわかっていません。
どうしてかというと、
いままでに起ったことについて知りすぎているからです。
流行歌のセリフにもありましたね、
「知りすぎたのね」というのが。
知りすぎているということは、
何も知らない人よりも、もっと始末が悪いのです。

ちょうど浜辺に立って毎日、
海を眺めているようなものです。
波打際に立って海を見ていると、
一番目につくのは打っては返す波の高さです。
「今日は波が高いから海は荒れているぞ、
船を出すのはやめることにしよう」
ということになってしまいます。
浜辺に立っていたのでは、潮の流れは見えません。
魚は浜辺にはいなくて、潮の流れの中にいるのです。
ですから潮の流れの変わる時が
一番魚に出会うチャンスが多いのです。
少なくとも私は嵐を怖れず、
荒れている海の中に飛び出して行きます。

もし証券会社のセールスマンが株のことを知っていたら、
もうとっくに大儲けをして証券会社に勤めていない筈です。
それが上役の言いなりになったり、
ボーナスの心配をしたりしているのは、
株のことを知らない何よりの証拠です。
したがって「どの株がいいですかね」
と証券会社の人にきくことは
目のよく見えない人が
もっとよく目の見えない人に道をきくようなものです。
株をやる人が守らなければならない鉄則の第一条です。


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2006年8月15日(火)

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