中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2351回
借金して株を買うと平常心を失います

投資家3つの戒めの中の第三条は
借金をして株を買わないことです。
足りないお金で無理をして株を買って、
それなりにいい成績があがると、
人間はえてして自信過剰になって
人からお金を借りてでも自分の実力を試してみたくなります。

そういう人の心理をあてこんで、
証券市場には信用売買という制度があります。
また信用銘柄でなくとも、
持株を担保に提供すれば
すぐにも融資してくれるその筋の金融会社もあります。
そういうプロのお世話にはなりたくない人でも、
身内や知友からお金を借りてつい株をやりたくなります。
こうなると、カジノに行って丁か半かに張るようなものですから、
株式投資がバクチになってしまいます。
それでも運の強い人や才能のある人は
勝負に勝つことがないとは言えません。
またそういう危ない橋を渡る人があるからこそ
証券会社が商売として成り立っている一面もあります。

でも借金をして株をやると、
利息がかかりますし、返済の期限もあります。
何よりも借金をかかえているという圧力がかかっているので、
株をやっている当人に大きな心理的圧力がかかります。
自分のお金だけでやっている時と違って、
平常心を失って判断をあやまる可能性も大きくなります。
うちの家内も一度だけですが試みに持株を担保に入れて
日本軽金属の株を信用買いしたことがあります。
ところが値上がりどころか、
逆に値下がりをしたので
「何が信用銘柄よ、全然、信用ないじゃないの」と言って
期限をまたずにすぐ株を処分して支払いをすませました。
以来、どんなに自信を持っていても
平常心を失うような借金をして株を買うことは
お互いにやめてしまいました。

私のところに相談に来た人の中には
娘さんの嫁入費用を一時失敬して株を買って
身動きのできなくなった人もいます。
また家を買う資金を一時株にまわして
支払いのできなくなってしまった人もおります。
そうでなくても借金をして株をやると平常心を失いますから、
相場の判断を誤まる可能性があります。
皆さんも借金をして株式投資をするのだけは
どうかお控えになって下さい。


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2006年8月17日(木)

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