中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2359回
世界で一番ビクビク生きている中国の成金

中国では経済の発展に伴って成金が続出し、
所得の格差はひらく一方だと新聞は報じています。
成金が続出していることも、富の偏在が起っていることも事実です。
でもそれは経済の発展する過程で必然的に起る経済現象で、
政府が故意につくりあげているわけではありません。

「みんなで貧乏しよう」ということなら、
所得の平均化は可能ですが、
そうなると1人1人の労働意欲が減退しますから、
生産は萎縮し、何百万人という人が餓死する
ということが現に起りました。
これではいけないと痛感したケ小平が共産主義の基本方針を変更し、
4つの経済特区と自由市場を実験台にして
社会主義市場経済への道をひらきました。

自分の利益のために働いてよろしいということになると、
機転のきく奴やお金に目のない奴は昼夜を分たず一生懸命働きます。
人の取分や国の取分を失敬する人も当然現れます。
その結果、所得の格差が
だんだんひらくことは避けられなくなりますが、
そうした人たちが先頭に立って利殖に励むと、
結果として経済の成長を促し、人々に多くの職をあたえ、
社会が豊かな方向へ向って動き出すのです。
ですから先に金持になる人がいても、
社会全体がよくなればいいじゃないかと
ケ小平は「先富論」を打ち出したのです。

しかし、実際に多くの成金が誕生し、
これ見よがしに豪邸に住んだり、高級車を乗りまわすようになると、
見ていて必ずしもいい気持はしません。
真面目に働いて財をなしたのならいいのですが、
そういう金ピカの生活をする奴に限って、
土地成金とか、役人の地位を利用して汚職をしたり、
政府の財産を失敬したりする人が多いのです。
でもそういう人たちが大威張りで生きているかというと、
恐らく世界中で一番ビクビクして生きているのは
中国大陸の大金持ちではないでしょうか。
ほとんどの大金持ちは
税金を払わないで金持ちになった人たちばかりですから、
心配で心配で夜も眠られない生活をしているのです。


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2006年8月25日(金)

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