中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2360回
金持ちになると夜寝られなくなります

「中国で一番金持ちは誰ですか」ときかれたら、
「それは国でしょう」と答えるよりほかありません。
中国じゅうの土地はすべて国家の所有であり、
人々はすべて国の所有する土地を借りて住んでいるのです。

事情を知らない日本人の中には
「中国政府を貧乏な政府だ」と早合点する人がありますが、
日本政府の方がずっと貧乏で、700兆円どころか、
もっとそれ以上に借金を抱え込んでいるのですから。
それに比べると、
中国政府は世界一の土地持ちで、
経済が発展しない間は土地も大して利用価値がありませんが、
経済が活性化すると、
土地は無限に値上がりする方向へ動きはじめます。
土地の値打ちの中にはその土地の下に眠る資源も、
また土地を利用することによって生み出される付加価値も
含まれています。

成金になる人たちの中には、
工業生産に従事して付加価値を創造する人たちもおりますが、
そういう人たちは全体から見たらホンの一部で、
収入もちゃんと捕捉されていますから、
お札を枕にして寝ているわけではありません。
それに対して土地成金や密輸で巨億の富を築く人たちは、
政府の土地を安く手に入れたり、
政府に払う税金を見逃してもらう人たちであり、
またその手伝いをする人たちですから、
労せずしてお金が転がり込んでくる立場にいます。
当然のことながら、税金なんか払っていません。

したがって、お金を持っていても、
いつご用になるかとおそれおののいて生活をしています。
財産や収入が全部国の所有で、
生活費だけをサラリーとしてもらう生活を
共産政府の下で半世紀以上も送ってきたので、
国民全体に所得税を払うという観念がないのです。
しかし、それでは財政が成り立たないので、
17%に及ぶ高率の消費税と輸出入に伴う関税が
国家収入の二本の柱になっています。
そうした中で派手な動きをして目立てば、
年に何人か目立つ奴が見せしめに逮捕されることになっています。
中国で大金持ちになるのも楽じゃないのです。


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2006年8月26日(土)

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