中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2375回
差別待遇がなかったと言ったら嘘になります

私は日本の植民地だった台湾で、
植民地の被支配者の一人として育ちましたが、
でも日本の最高学府である東大を卒業し、
支配者であった当時、
内地人と呼ばれた日本人の誰にも負けないだけの教養を
身につけるチャンスをあたえられました。

おかげで被支配者をすべて「一祝同仁」する
御稜威(みいつ)のおかげだぞ
と台湾総督府のお役人たちから恩に着せられましたが、
実際には台湾における教育は、
内地人と台湾人でははっきり差別されておりました。
先ず小学校から中学までは、
内地人と台湾人は別々の学校だったし、
私は内地人の通う小学校に入学を許されましたが、
それは私が土地の土豪劣紳(有力者)の家に育ったからです。

私は小学校の成績が抜群によかったので、
選ばれて7年制高校の台北高等学校の尋常科に
小学校を代表して受験に行かされました。
当時の台北高校尋常科は1クラス40名だけで、
それに対して全国の小公学校
(台湾人の行く小学校は公学校と呼ばれていました)
の1番2番が400名集まって受験しました。
400名中の40名ですから、
10名に1名の合格者ということになりますが、それは表向きです。
実際には受験者は内地人200名に対して台湾人も200人。
その中から台湾人は5人しかとりませんでしたので、
日本人は200名で35名、台湾人は200名に5人という競争率です。

ですから入学して新しいクラスができると、
1番、2番は台湾人で、3番に内地人が入ったらよい方です。
高等部を卒業して大学を受ける時も、
日本内地では植民地のような人種差別はしませんから、
台湾人の合格率の方がうんとよいのは当然です。
但し、台湾の人たちは役人や実業家では出世がおぼつかないので、
大半が医者になります。
私のように経済学部を選ぶ人は
よほどの粋狂か度胸かということになります。
それでもとにかく
最高学府で勉強する道はひらかれていたのですから、
日本の植民地政策を悪様に言ったら罰が当るかも知れません。


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2006年9月10日(日)

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