中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2390回
世界に通用するもっと大きな日本人になれ

日本人は国に対して畏敬の念を持っています。
お上に対しても、色々と批判はありますが、
基本的に一目も二目もおいています。
どうしてかというと、
どうにも困ったら、
お上が救いの手をさしのべてくれるものだという
環境の中に生きてきたからです。

でもお上の手は国内には届きますが、国外にまでは及びません。
ですから何かと言うと、
すぐ国の援助を期待する動きを見せる日本人も、
外国に行くと国を頼りにするわけには行きません。
外国で飛行機が墜ちると、
日本の新聞はすぐ日本人が何人乗っていたか報道しますが、
日本人が乗っていないとわかると、すぐ忘れてしまいます。
では日本人が外国で何らかの紛争にまきこまれたら、
政府が手をさしのべてくれるかというと、
ニューヨークのワールドトレードセンターが
テロの攻撃対象になった時を見てもわかるように、
日本の大使館は何もやらないことで、
日本人の現地在住者の間に広く知られています。
日本の出先官庁は外国の政府との連絡のためにあるもので、
そこに住んでいる日本人や
日本企業のためにあるものではないからです。

ですから同じ日本人でも、
日本国内に住んでいる日本人と外国に住んでいる日本人では
日本政府から受ける恩恵がまるで違います。
国内に住んでいる日本人に対しては
失業保険から健康保険まで厚生に神経を使いますが、
自分たちの威光の及ばないところに対しては
何ら成す術を知りません。
今後、世襲制が復活して
殿様のような政治家ばかりになったら
かつての藩がそうであったように財政困難におちいって
増税と産業不振に苦しむようになる可能性は大ですが、
外国に住んでいる日本人のところまでその影響は及びません。
恩恵にもあずからなかった代わりに、
被害も蒙らないですみます。
つまり封建社会への逆戻りに賛成できない人は
外国に働きに出ればよいのです。
日本人の働く土俵が拡がったので、
狭い日本でお互いにひしめきあう必要はなくなったのです。


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2006年9月25日(月)

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