中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2391回
諸悪のもとは中国の官僚専制主義にあります

「もっと愛国心を持て」といきり立つ声は中国でも、
日本に負けないだけ大きくなっています。
でも日本と中国では人々の胸に響く響き方が違います。
どうしてかというと、
日本人と中国人では国に対する認識に大きな違いがあるからです。

日本人は素直にお上みの言うことをききますが、
中国では国とお上みは別のものです。
中国では政府はあっても、
それが即ち国であるとは思われていません。
スローガンがいくら立派でも政治と行政は遊離していて、
役所というところは人民に奉仕するよりも、
人民に言いがかりをつけて
自分たちのふところをこやすためにあると思われているのです。
国のトップの人たちが
そういう意図でやっているという事ではありません。
いくら高邁な理想からスタートしたことでも、
それを実施する段階まで下りてくると、
何千年来続いてきた官僚制度の悪幣が理想を包み込んでしまって、
蝿が食べ物に群がるように人民に喰ってかかってしまうのです。
つまりいまの中国政府の非効率や堕落は
共産主義がもたらしたものではなくて、
有史以来、綿々と続いてきた官僚専制主義が政府の理想をゆすり、
たかりのタネにしてしまうのです。
中国の現実をよく知らない人たちは
それを共産党独裁のせいにしてしまいますが、
根はもっと深くて、
30年や50年で改まるような性質のものではありません。

ならば、共産主義のせいでなくとも、
中国の近代化は絶望的なのかと言うと、
中国の経済の発展が官僚専制主義に
大変な勢いでパンチを喰らわせているのを、
いま私たちは毎日、目のあたりにしています。
10年くらい前に私たちがはじめて
中国大陸に乗り込んできた時の役人たちと
いまの世代が変わって新しく役人になった人たちの間には
大きな違いがあります。
あと10年たったら、もっと大きな違いが出てくる筈です。
恐らくそうなる前に役人の成り手がいなくなってしまうでしょう。
役人になるより企業家になって
金儲けに精を出した方が中国人の気質にあっているからです。


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2006年9月26日(火)

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