中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2397回
国営企業の株を買うな、そのニ

国営企業は全部、駄目だと言うわけではありません。
国営であっても、有能な経営者が任命されたために、
見る見る業界で頭角を現わして
大へんな業績をあげているところもあります。
でもそれは10社に2社くらいあればいい方で、
あとの8社は先ずうだつが上がらないと思えば、
当らずといえども遠からずです。
ですから、株を買う時は
役人あがりによって運営されている会社であるかどうかに
先ず気をつけて下さい。

私は南京パンダとか、済南軽騎とか、
方正控股とか言った株を買って
ひどい目にあわされたことがあります。
テレビをつくっているのだからいいだろう、
オートバイはマイカー・ブームより一足先にブームになる筈だ。
北大によって開発されたソフトの会社だから間違いないだろうと、
つい日本の経験で物事を判断したのが間違いのもとでした。
南京パンダは南京の町の繁華街のど真ん中に工場がありましたが、
陳列室に案内されると、
工場を見学に来た毛沢東、鄧小平から
歴代のお歴々の写真ばかり並んでいました。
済南軽騎は済南市全体がその城下町ではないかと思いたくなるほど
町全体を威圧していましたが、
オートバイは北京や上海のような大都市から完全に締め出され、
会社のトップたちはその解決に力を入れるどころか、
会社の金を使って株にうつつを抜かし、
その責任を問われる結果になりました。
方正はソフトのコンクールでトップ賞に輝いた
北京大学教授のアイデアを北京大学が出資をして、
企業化したものですが、
所詮は学者の商法、いまだに花を咲かせるどころか、
芽を出す立場にもいません。

中国ではお金が儲かると思ったら、
たちまち激甚な競争に見舞われて、
儲けがすっとんでしまいます。
ですから、激しい競争に曝される業界の株を買う場合は、
10社のうちの2社に数えられるような有能な経営者によって
運営される会社の株を選んで下さい。
それができないなら、
そういう業界の株は避けて通ることです。


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2006年10月2日(月)

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