中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2398回
国営企業の株を買うな、その三

もちろん、国営企業の中でも
ちゃんと立派な業績をあげている企業もあります。
トヨタよりも、もっと業績をあげている中国石油とか、
製鉄ブームに湧く宝山鋼鉄とか、
それからいよいよ本番に入る中国人寿保険とか、
その独占的立場故に、
将来も産業界のトップにランクされる企業があります。

ほかに実質上の国営でありながら、
かなり業績をあげている企業もあります。
その大半は、資源を独占しているか、
業界を独占しているか、
要するに市場の競争に曝されていない企業ばかりです。
そういう企業の中の好業績で、
且つそれが持続する見込みのある株を買えば、
間違いありませんが、
その場合でも株主の利益を重視する会社であるかどうかを
よく確かめることです。
独占性があるということは
国営だからということと関係がありますが、
それらの企業のトップに任命された人たちは、
市場開放される以前の感覚で
自分たちの椅子にしがみついている人がたくさんいます。
昨今のように資源が値上りすれば、
じっとしていてもお金は儲かるし、
また人々のふところ具合がよくなれば、
家を買う人がふえて不動産が値上りします。
たとえば、湖南有色金属は一株当り
利益が20セントもあるのに、株主配当はゼロです。
またこれは国営企業でなくて、香港企業ですが、
天安中国は中国大陸で不動産を手がけて
かなりの利益を上げているのに、
配当はビタ一文もやっておりません。
国営企業以上にタチの悪い民間企業もまじっているのです。

どうしてかというと、
こういう会社の董事長、総経理になった人たちは
眼中に株主のことなど全くなく、
ただただ大株主である政府の要路の人たちのご機嫌を伺うとか、
自分たちのふところ具合しか考えていないからです。
こういう会社はたとえ将来、大きな利益があがっても、
零細株主のふところを潤すことは先ずありませんから、
さっさと株を売り払って、
もっと株主を大事にしてくれる株に乗りかえることです。
株を選ぶ場合、株主の立場をちゃんと考えている会社かどうかを
よく調べることも大切なことの一つです。


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2006年10月3日(火)

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