中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2437回
特許切れの製薬からはじまった所です

その後、北京大学のバイオの先生方と眤懇になり、
製薬工業にも少し足を突っ込むようになって、
中国の製薬業界のことが少しばかりわかるようになりました。
日本と違って中国には何千年に及ぶ漢方の歴史があって、
大半の中国人は外科手術を要するような病気でなければ、
漢方の治療ですませています。
西洋医学の歴史はまだ浅いし、
大病院でなければそんなに利用されていません。
そこで使われている薬剤にしても、
大半が欧米がオリジンになったものばかりです。
しかもすぐれた新薬ほど、
製法が秘密になっているばかりでなく、
知的財産権によって守られています。

したがってバイオの最新技術を使って
中国で生産のできる薬は
既に特許の期限が切れたものしか実際に生産されておらず、
たとえばインシュリンとかインターフェロンでも、
やっと最近になって中国で生産できるようになったばかりです。
最近になって中国の製薬会社が手をつけるようになった薬品は
いずれも特許の期限の切れたものばかりで、
そういう薬品でも
現に病院で使われているものがたくさんありますから、
やっと商売になるようになったところです。

当然、自社開発の薬品は
漢方からスタートした間に合わせのものくらいで、
新薬を研究する本格的な研究所もなく、
またそれを設立するだけの資金の持ち合わせもありません。

つまり現に製薬会社として上場している企業も、
その製造している薬剤は天下衆知のものばかりで、
それも既に特許期限をすぎたものに限られています。
それでも現に病院で使われており、
需要が拡大する方向にある薬品であれば、
事業としては成り立ちます。
中国のほとんどの製薬会社はそういうところから出発しており、
その中で上場できるスケールに達した製薬会社が
一足先に上場していると考えて下さい。
広州薬業とか、麗珠医薬とか、
株価が既に4ドルも5ドルもするようになった製薬メーカーが
先陣を切っていると思えばわかりやすいと思います。


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2006年11月11日(土)

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